根拠のない自信などいらない

コロナウィルスの騒動で、自分は感染しないという根拠のない自信があるという人もいるようです。

人というものは、「自分は大丈夫だ」と考えてしまうものです。それが功を奏すればいいのですが、後でとんでもない事態となることもよくあります。

これが宗教やスピリチュアルを実践ている、特に信仰している人達の中には、「私が信じている神様がついているから大丈夫だ」という人がいて、ハッキリ言ってしまえば根拠のない自信ですが、こういう人もそれなりにいます。

根拠のない自信が続いている時はいいのですが、こういうものはいずれ崩れ去ります。そして崩れ去った時に悲惨なことになる。

私の知り合いの女性で、かれこれ30年くらい前の話ですが、その人が一時期ニューヨークに滞在していて、その時その人なりの信仰がありました。

「私が信じている教えや、ついている神とか、そういったものに自分は守られているから大丈夫だ」という根拠のない自信があり、その人にとっては根拠があるんでしょうが、側から見ると何の根拠もないわけです。

その人はニューヨークにいて、地下鉄に女性一人で乗っていました。

かれこれ30年ほど前のニューヨークの地下鉄はものすごく危険で、今は良くなっているそうですが、当時は女性一人が夜の地下鉄に乗るなどとんでもない話で、何をされても文句も言えないような状態ですね。

落書きも酷くて、どんな事件に巻き込まれるかわからないと。

でも盲信によって「私は大丈夫」と思い込み、その時は幸い特に何事もなかったそうですが、それから何年も経って根拠のない自信も崩れてきて、その女性は非常に不安定な状態になりました。

根拠のない自信に溢れていた時は、目もキラキラと輝いていましたが、数年後には表情もどんよりとして、言うことも悲観的なことばかり言うようになってしまいました。

そういった根拠のない自信はどこかで崩れ去ります。

信仰を持つことはそれはそれでいいのですが、真理を極めていく上で、単なる信仰ではなく、気づきであったり、迷妄から目覚めていき、最終的には信仰も超えていくことになります。

まして言わんや、根拠のない自信があったとしても、それは一過性のものに過ぎませんから、そういうものにとらわれていてはいけないと。

そして「私には神や存在がついているから大丈夫だ。全てをお任せ」などという人がいますが、現実的なことはしっかりと対応しなければいけません。

コロナウィルスのことでも、「自分は大丈夫だ」ということで出歩いたり、集まったりする人達もいまして、海外に行ってウィルスに感染してしまった人もいましたが、こういう人は現実的な対応ができていません。

スピリチュアルに関わっている人達でも、現実的な感覚が欠落している人が多く見られます。

これは私自身もかつてそうでして、大いに反省しています。

現実的なことは現実的なこととしてしっかりと対応することが大切です。

ニサルガダッタ・マハラジの弟子であるラメッシ・バルセカールという方がいて、このラメッシは元々銀行の頭取であり、現実社会でも成功していた人で、現実的な考えもしっかりとありました。

そのラメッシが「精神的な覚醒、悟りを目指すのはいいけれども、現実的なこともしっかりと行わなければいけない。お金の問題に関してはきちんと解決しておきなさいよ」ということを、サットサンで集まった人達に説いていたとのことです。

やはり金銭的な問題で色々と悩んでいる人が、スピリチュアルに関わっている人達で結構います。

最低限の金銭的な余裕というものはあった方がいいかと。

何もないと本当に精神の深みに至るどころか、生きるだけで精一杯で、とてもスピリチュアルや精神世界に関わっていくどころではない。

やはり現実的なこと、特に経済的なことはきちんと解決しておく必要がある、ということをラメッシは言われています。

これは本当にその通りだなと思います。

そして一切そういう現実的なことはいい、関係ないのだ、という姿勢でやっていける人は非常に少ない、ごく限られた存在であります。

ラマナ・マハルシは本当に現実的なことを完全に超越していました。

色々と優れたグルやマスターがいますが、どうしても現実的な部分が残っていたようですが、ラマナ・マハルシに関しては完全に超越しており、そもそも肉体や生命に対するとらわれが本当になかったようですね。

伝記を読みますと、マハルシが少年時代、この現実から完全に超越しようということで、家出をしてアルナチャーラという山にずっと滞在して、要確認

お堂でずっと座り続けていましたが、ネズミや虫が近くにやってきてマハルシの体を食らっていました。

普通なら痛いとか、気持ち悪い、となって虫を払い除けたり、場所を移ったりしますが、ラマナ・マハルシはその場に平然と座り続けました。

このままでは生命活動を維持できない、ということで他の人の助けがあって、生命は維持されましたが、マハルシは肉体や生命に対するとらわれを超越していたのです。

このような存在は極めて稀です。

マハルシ同様真に覚醒していた、ニサルガダッタ・マハラジは癌に晩年罹っていましたが、癌の治療をしようという気が全くなかったそうです。

やはりマハラジもマハルシ同様、肉体や生命に対する執着がなかったのですね。

そしてマハラジの晩年の教えは、全然現実的なことは語らず、私は在る、さらに私は在るも超えて、意識に先立つものの話ばかりされていました。

こういった方々、存在というのは、極めて稀でありまして、「ラマナ・マハルシはすごいな。私も現実なんかどうでもいいんだ」と表面だけ猿真似をして、現実的なことを悪い意味で放棄してしまい、そういう人後で困った事態に遭遇するでしょうが、表面だけ猿真似しても何らいいことはありません。

やはり私達は現実的なことは現実的なこととしてきちんと対処しましょう。

最初のうちは根拠のない自信も生じてくるかもしれませんが、それも超えていくとただ在るというだけで、根拠のない自信もなければ、落ち込んで卑屈になることもなく、ただ淡々とここに在るという状況になっていきます。

現実も悪い意味で無視することなく、しっかりと対処し、その上で存在と共に在るようになっていきます。