正義感に酔いしれることなく
人が自分にとっての正義、正しいと思うことを声高に主張する、ひどくなると押しつけにまでなることがあります。
そういう人は自分の言ってることが正しいと思い込んでいますが、でも本当にそれが良きことなのか?と思われます。
正義の名の下に為される言動が、かえって良からぬ結果になったり、かなり深刻な状況をもたらすこともあります。
今年の上半期になりますが、アメリカ大統領選挙で、陰謀論が蔓延りましたが、結果が明白になっても、未だに陰謀論を主張する人達がいます。
客観的に見れば絵空事でしかないですが、それを絶対的に正しいと信じ込んでいる人がそれなりにいまして、アメリカで信じている人がいるばかりでなく、日本でもそういう人が多くいました。
その人達にとってはこの情報は真実であり、大手マスコミ、いわゆるオールドメディアは全てインチキであるとしている人達もいました。
この全てインチキであるというのはかなり偏った見方で、確かにオールドメディアに偏りも見受けられることがありますが、全てが間違っているかといえばそんなことはなく、正しいこともあれば間違っていることもあると。
そしてネットの情報を信じる人も増えていますが、それらもよく検証してみると、非常に歪んだ偏ったものもあります。
そういったものが出てくるのは仕方ないとして、「この内容は正しい。そしてそれを伝えることが正義だ」ということで、色々なユーチューバーの人達が情報を発信し、ツイッターでもかなりの陰謀論としか思えないツイートが出ています。
そして日本において有識者とされる人達の多くが陰謀論を主張したり、私から見て物事を比較的正確に見ることができると思っていた人達が、陰謀論に加担している例が多くあります。
私が冷静に見るに、そういう人達は酔いしれているんですね。普段は冷静で鋭い分析をする人達でも、いざ自分が「これは正しいんだ」という思いが強くなりすぎると、正義感に酔いしれてしまい、目が曇って冷静に見ることができなくなります。
これは私自身がそういう経験を経てきているので、そういう人達のことがよくわかります。
かつては私も陰謀論に強く加担しており、それに乗っかっていた時があり、周りにもそれを吹聴していました。
その時の自分の状態を冷静に振り返ってみると、完全に己の正義感に酔いしれていました。
そして普段は冷静な人でも、自分が正しいと思い込んでしまう、正義感に強く酔いしれてしまうと、酩酊状態になり覚めていた目が閉じてしまいます。
これでは意識の覚醒もへったくれもありません。目覚めているどころか、完全に閉ざしている状態です。
今回スピリチュアルに傾倒している人の多くが、陰謀論に加担してしまったという印象があり、自分たちはこれだけ良きこと、正しいことを主張しているのに、なぜそれが理解されないのか?報われないのか?という思いにとらわれている人が多くいるように見えます。
そういう人達はどこかしらで自分が正しい、自分が正義だという思いがあるのでしょう。それは声高に表に主張する人もいれば、表に出さない人もいますが、大なり小なりそういった思いがどこかしらにあるのだと見受けられます。
私自身がそうでしたし、周りを見てもそのような人が多くいました。
そしてなぜ私達のような清き魂が報われないのか?という思いがあり、実は裏でこういうことがあるんだ、という話を聞くとそこに飛びついてしまう。「ああそうなんだ。そういうことだったんだ!」となる。
さらに「裏で牛耳っている連中こそが悪なのだ。自分達は正しいのだ。私達のような清き魂が報われる状態でなければいけない」という思いがどこかにあり、陰謀論に飛びつくということもあります。
それまでは比較的冷静であったり、慈悲深い人が陰謀論にとらわれると一転することがよくあります。
陰謀論者でなかったとしても、自分の正義感に強くこだわり、無闇にそれを人に押し付けるとこれは最悪です。
実際アメリカ大統領選挙で陰謀論に飛びついて、トランプが実は勝っているなどと主張し、1月6日に大変な事態が起こりましたが、それでもトランプが勝ち、バイデンが大統領ということになっているが、間もなくトランプが大統領として戻ってくる、という妄想をずっと言い続ける人もいて、それに乗っかる人も少なからずいました。
しかし実際にはどうなったかと言えば、バイデンが大統領として就任し、トランプはフロリダにいます。
3月4日にトランプがアメリカ合衆国ではなく、アメリカ共和国の大統領となるのだという、もはや開いた口が塞がらないような説を唱えている人もいて、以前よりそれを信じている人は少ないでしょうが、未だにそのような妄説に惑わされている人達も存在します。
その説を主張する人の中には、ビジネスとして金儲けとしてやっている人もいるようですが、本気になって信じ込み、正義感から世の中に広めている人もおり、正義感に酔いしれている人もいます。
それはまさにカルトの教祖が、陰謀論やカルト的主張など、冷静に聞いているとまともに論ずるにも値しないようなことを説き、それを信じ込んでしまう信者の人達がいますが、カルトの教祖と信者と、陰謀論を声高に主張する人と、それを盲目的に信じ込んでしまう人達は何ら変わりません。
そのように陰謀論を主張する人がカルトと一緒であると言う人もおり、私はまさにその通りだと思いますが、それに噛み付く人もいて、トランプを信じる人達と、カルト信者を一緒にするな、と噛み付く人もいますが、これは全然わかっていません。根底は一緒ということです。現れは多少違いがあったとしても、根底は全く同じです。
本当に達観してしまえば、世の中で何が起ころうと一喜一憂する必要はないですが、みんながそれで大丈夫かと言えばそうもいかないですね。
完全に非二元を理解していれば、外的に何が起こってもそれらは所詮幻想、マーヤーですから何ら影響がない。ただ起こることが起こるのみです。
ただしその理解が中途半端な人は、「ただ起こることが起こるのだ」と表面で理解しても、外側で様々なことが起これば、どうしてもそれに巻き込まれてしまいます。
ですから外側の混沌とした状況も理解しておく必要があります。
そして自分の正義感に酔いしれている人達は、一刻も早く目覚めて欲しいですが、一度そういったものにとらわれてしまうと、そこから抜け出すのはなかなか難しいです。
そういう人達からすると、私など「お前こそ迷妄にいるではないか」と言われてしまうのがオチですが、伝わる人にまずは伝わればいいと思っています。
例えば非二元の教えも、多くの人に伝わり理解されるのは、現時点では不可能です。まずは伝わる人に伝われば良いです。
私もそのような見解に関心があり、深く落とし込んでその話をしたりもしますが、その一方でこの現実世界に起こっていること、この状況もしっかりと理解しておく必要があると思います。
まずは己の正義感にとらわれず、これが正しいのだ、これがわからない奴は迷妄だ、などという非常に思い上がった、それこそ迷妄の極みですが、そこから目覚められる人は目覚めていただきたいです。
こういった事態も暗澹たる状況ではありますが、かなりあぶり出しが起こったかなと、それによって「この人達はまだ冷静に見ているな、この人達はそれまでは冷静だったかもしれないが、今は迷妄の方向、マーヤーにとらわれてしまっているな」ということがよりハッキリとしてきました。
この経験をもとに目覚めていく人が出てくるかもしれないし、その数も少なくてより混沌の度合いが増すかもしれませんが、現時点では過渡期かと思います。
だから私は単に絶望することもなく、楽観視もしないというニュートラルな立場です。今後どうなるかは神のみぞ知ると言いますか、私たちには知り得ないことでしょう。
ともかく外的なことは所詮幻想だから、そんなことはどうでもいい、という姿勢は取らないようにしようと思います。
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